社内恋愛なんて
「美奈子のことが好きなの?」


 聞いちゃいけない台詞。


もしも好きだとはっきり言われたら、私はとても傷付くだろう。


プライドがずたずたになるだろう。


それこそもう立ち直れなくなるかもしれない。


だって、私が一番ショックだったのは、二人が好きだと言い合っているメールだったのだから。


 考え込むように黙っている守に、やっぱり言わなくていいと答えるのを止めようとした時だった。


「好きだったのかもしれない」


 守は言った。


しかも、一番聞きたくなかった台詞を。


「かもしれないって、何?」


 私は半笑いになりながら、なおも深く突っ込む。


心臓がばくばくしてきて、もう自分でも言葉を抑えることができなかった。


冷静ではいられない。


思っていることが口から溢れ出す。


「好きだった」


 守ははっきりと言った。


「好きならどうして私と別れないの?」


「みあと別れようと思ったことは一度もない」


「それは美奈子が人妻だから? 人妻じゃなかったら美奈子の元にいってた?」
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