社内恋愛なんて
「冷静に考えて? 

別れた方がいいに決まってるでしょ? 

私はもう一生守を信じることはできないし、許すこともできない。

そんな風に思っている相手とよりを戻したところで幸せになんかなれないよ」


 私は呆れた様子で言った。


まさかここで別れたくないと言われるとは思わなかった。


今日会った目的は、今後会社でわだかまりを残さず接することができるようにするためのもので、別れる別れないを議論する予定ではなかったのだ。


別れることは絶対条件なのだから。


「そう思われても仕方ないと思ってる。

どんな風に償えばいいのかずっと考えてたけど、今でもまだ答えは見つかってないけど、別れることだけはしたくない」


「一緒にいるだけ辛いって分かってるのに、なんでそんなに別れたくないの? 私には理解できない」


 守は真剣な表情で私を見据えた。


「みあが好きだからだよ。

どんなに辛い状況が待ってたとしても、みあを失うよりはましだ。


みあのことが、誰よりも何よりも大切だって気付いたから」
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