社内恋愛なんて
真実は分からないけれど、美人の美奈子といいかんじになって欲に負けて、バレたらどうなるとか頭をよぎりもせずに、楽しんでいたんじゃないかと思う。


子供が図体だけ大人になってしまったみたいな人なのだ。


だからこそ、皆に愛されるわけで、彼のいいところでもあり悪いところでもある。


女たらしとはちょっと違う、人たらし。


だからといって、守とよりを戻したいとは思わないけれど、そんな風に守を見ることですっと気持ちが楽になった部分もある。


友達、とまではいかなくても同期として、一緒の会社で働く仲間として接することができるから。


救いようもないくらい最低な人間だったら、仲間としてすら関わりたくない。


あれから三年経って、ようやく恋がしたいと思えるようになった。


今度恋愛するときは社外で！　と思っていたのに、恋に落ちた相手は直属の上司。


ある意味、同期よりもたちが悪い。


社内恋愛だけは絶対嫌と思っていたのは、別れた後が大変だから。


守と別れた後、何度も辞めようと思ったのに直前で踏みとどまったのは、この会社が好きだから。


辛くても大変でも、がむしゃらに仕事を続けてきた。


いつしか仕事が生きがいになっていた。
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