社内恋愛なんて
部長のことが、好きなんです
説明会の全日程が終了し、今後の新卒採用人事は本社で行う。


そのため、部長はもちろん採用受付の女の人たちも、今週から本社に出社している。


部長と毎日顔を合わせるのは、嬉しい気持ちよりも正直戸惑いの方が大きい。


あんなにストレートに気持ちをぶつけられたら、どう接していいか分からなくなる。


しかも私は、告白されて逃げるように会社を出た。


そんな失礼極まりない態度を取って、嫌われてもおかしくないくらいなのに、部長はいつも通りに接してくれた。


いや、いつも以上に優しく……。


「部長、コーヒーです」


 険しい顔でパソコンと睨めっこしている部長のデスクに、邪魔にならないようにコーヒーを置いた。


女性社員がコーヒーを作らないといけないという古いしきたりはない。


ただ、朝くらいは作って持っていってあげたいと思うので日常の習慣になっている。


 部長は置かれたコーヒーカップに目を移し、そしてゆっくりと顔を上げた。


先程の眉間に皺の寄った険しい表情と変わり、とても柔和な微笑みを浮かべていた。
< 151 / 359 >

この作品をシェア

pagetop