社内恋愛なんて
「瀬戸内さんが、とは言ってないですけど、会えなくなって寂しがってるとは言いましたよ」


 私は笑顔で真実をありのままに伝えた。


「そうですか……」


 少ししょんぼりした様子だったので、何か伝え方間違えたかなと不安になる。


「瀬戸内さんがって言った方が良かったですか?」


「いや、いいんです。もう……」


 瀬戸内さんは明らかにがっかりした様子だった。


特定の名前を出したら嫌だろうと思っての配慮だったのだが、どうやらその配慮は邪魔だったらしい。


嫌な予感がする。


「瀬戸内さんってもしかして……」


 部長のことが好きなんですか? と聞こうとしたところで、エレベーターが開き部長が出てきた。


「剛田部長!」


 瀬戸内さんの声に明るさが増す。


三人がわあっと部長の周りに集まった。


「あまり顔を出せなくてすまないな」


「そうですよ。説明会ではずっと一緒だったのに。薄情ですよ」


 瀬戸内さんが親しげに話しかける。


今までは別に何とも思っていなかったのに、胸がざわついていた。
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