社内恋愛なんて
仕事がひと段落し、時計を見ると19時半になっていた。
オフィスにはまだ半数ほどの社員が残業していた。
そろそろ帰ろうかと思っていたところで、外に出ていた部長が帰ってきた。
パソコンの電源を切り、帰り支度をしている私を見て部長が声を掛けてきた。
「帰るのか?」
「はい……。あ、何かやることありましたか? まだ帰らなくても全然大丈夫です」
「いや、何もない。気をつけて帰れよ」
部長に声を掛けられてドキドキしている自分がいた。
こんな会話だけでドキドキしていたんじゃ仕事に差し支える。
そうは思っていても、気持ちは抑えられないから厄介だ。
「あ、雨降ってる……」
ふと窓を見ると、真っ黒な景色の中に細い白糸のような雨が流れ落ちるように降っていた。
「湯浅さん、傘持ってきました?」
小さく零した声を後輩の女の子が聞いていたようで、パソコンから顔を離して心配そうに尋ねてくれた。
「ううん、持ってこなかった」
「そうですか。どこかに誰かが忘れて置いていった傘があったような気がするんですけど……。どこだったかな」
オフィスにはまだ半数ほどの社員が残業していた。
そろそろ帰ろうかと思っていたところで、外に出ていた部長が帰ってきた。
パソコンの電源を切り、帰り支度をしている私を見て部長が声を掛けてきた。
「帰るのか?」
「はい……。あ、何かやることありましたか? まだ帰らなくても全然大丈夫です」
「いや、何もない。気をつけて帰れよ」
部長に声を掛けられてドキドキしている自分がいた。
こんな会話だけでドキドキしていたんじゃ仕事に差し支える。
そうは思っていても、気持ちは抑えられないから厄介だ。
「あ、雨降ってる……」
ふと窓を見ると、真っ黒な景色の中に細い白糸のような雨が流れ落ちるように降っていた。
「湯浅さん、傘持ってきました?」
小さく零した声を後輩の女の子が聞いていたようで、パソコンから顔を離して心配そうに尋ねてくれた。
「ううん、持ってこなかった」
「そうですか。どこかに誰かが忘れて置いていった傘があったような気がするんですけど……。どこだったかな」