社内恋愛なんて
……私も、本当は嬉しいんです。
また部長の車に乗ることができて。
そう言いたいけれど、言葉をぐっと飲み込んだ。
「部長はどうして私なんかを……」
言いかけて、言葉を噤(つぐ)んだ。
そんなこと聞くべきではない。
「すみません、何でもないです。聞かなかったことにしてください」
慌ててさっきの言葉をなかったことにしようとした。
瀬戸内さんみたいな美人から言い寄られていることを知ってしまったから、どうして私なんかを好きになってくれたのだろうと疑問に思っていたけれど、本人に聞くようなことじゃない。
私のどこが好き? と恋人に聞くような質問みたいで、気恥ずかしい。
部長は、気まずそうに俯く私をじっと見つめた。
「湯浅は、自分に自信がないのか?」
「……はい、ないです」
あるわけがないと言葉を付け足したいほど、自分に自信がなかった。
特に女としての自信。美人でもないし、背も小さいしスタイルもよくない。
あげくに婚約者に浮気されてしまうような女だ。
性格だって、臆病でネガティブでちょっと神経質。
部長のような素敵な男性が私みたいな女を好きになる理由がまるで見当たらない。
また部長の車に乗ることができて。
そう言いたいけれど、言葉をぐっと飲み込んだ。
「部長はどうして私なんかを……」
言いかけて、言葉を噤(つぐ)んだ。
そんなこと聞くべきではない。
「すみません、何でもないです。聞かなかったことにしてください」
慌ててさっきの言葉をなかったことにしようとした。
瀬戸内さんみたいな美人から言い寄られていることを知ってしまったから、どうして私なんかを好きになってくれたのだろうと疑問に思っていたけれど、本人に聞くようなことじゃない。
私のどこが好き? と恋人に聞くような質問みたいで、気恥ずかしい。
部長は、気まずそうに俯く私をじっと見つめた。
「湯浅は、自分に自信がないのか?」
「……はい、ないです」
あるわけがないと言葉を付け足したいほど、自分に自信がなかった。
特に女としての自信。美人でもないし、背も小さいしスタイルもよくない。
あげくに婚約者に浮気されてしまうような女だ。
性格だって、臆病でネガティブでちょっと神経質。
部長のような素敵な男性が私みたいな女を好きになる理由がまるで見当たらない。