社内恋愛なんて
再び車に乗り込んで、家路へと向かう。


楽しい時間はあっという間に終わってしまう。


どんどんマンションに近付く景色を見る度、切なくなった。


もっと一緒にいたい。


 言いたい言葉がたくさんありすぎて、でも言えなくて、俯いて自分の足を見つめた。


そわそわと落ち着かない気持ちを封じ込めるように、両手をぎゅっと握りしめた。


 マンションが見えた。


もう二人きりの時間は終わってしまう。


すると、車はマンションの前を横切って、すぐ近くのコインパーキングに入った。


「わざわざこんな所に停めなくても、私すぐ降りますから」


 ロック板が上がる前に出ようとして、慌ててシートベルトを外そうとすると、部長はそれを止めるように私の手に自分の手を重ねた。


「もう少し、一緒にいたいんだ」


 ドキリと胸が大きく鳴った。


真剣な表情で見つめられて、私は言葉を失った。


「嫌か?」


「嫌なんかじゃ……」


 顔が赤くなっているのを気付かれたくなくて、顔を背けた。


こんな色気のある顔で見つめられたら、息ができなくなってしまう。
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