社内恋愛なんて
私を守りたいっていう言葉。


守のプロポーズの時の言葉も一緒だった。


それに、信じるって言葉。


信じたいけど、どうやったら信じることができるのか分からない。


信じるってなんだろう。


 途端に胸がざわざわしてきて、混乱してきた。


息が苦しくなって、軽いパニック状態に陥る。


 部長の気持ちに応えたいのに、嫌な記憶がフラッシュバックしてしまう自分に憤りを感じて、更に苦しくなる。


涙が溢れそうになるのを必死で堪えた。


「私なんかやめた方がいいです。こんな面倒くさい女と付き合ったら絶対後悔します」


「どこが面倒くさいんだ?」


 部長は納得がいかないといった表情で、小首を傾げ私を見つめた。


その目は優しさで溢れているのに、私は怖くて堪らなくなった。


 トラウマを抱えている女なんて面倒くさいに決まってる。


浮気されるような大事にされない女なんて価値がない。


こんな風に考えていること、こんなにネガティブな私、絶対に知られたくない。


嫌われたくない。
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