社内恋愛なんて
もしも、部長が好意を寄せているのが冴えない私だと知ってしまったら、意地悪とかされるのかな。


瀬戸内さん、あけすけでいい人だと思ったんだけどな……。


まだ何も言われていなのに、気分はどんよりと沈んでいた。



 オフィスに戻って仕事をしていると、あっという間にお昼の時間になった。


瀬戸内さんと一緒に会社を出る。


冷たい風が頬を刺した。


「寒いですね~。早く行きましょう」


 瀬戸内さんは制服の上にコートを羽織って寒そうに身を縮めながら小走りした。


その後ろを私は黙ってついて行く。


 会社から徒歩で10分もかからない距離のところに、こじんまりとした佇まいのイタリアンがあった。


内装は西欧風で可愛らしく、テーブル席が4つと五名ほどが座れるカウンター席がる。


私たちは一番奥のテーブル席に座り、デザートと飲み物付きのランチセットを頼んだ。


「湯浅さん、なんか警戒してませんか?」


 瀬戸内さんはおしぼりで手を拭きながら苦笑いして言った。
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