社内恋愛なんて
「ごめんなさい、本当に。

私、自分に自信がなくて。

裏切られることが怖いんです。

ただでさえ恋愛に臆病になっているのに、社内恋愛なんてできる自信ないんです」


 自分の気持ちを素直に言う瀬戸内さんに引っ張られて、気が付いたら私も本音を話していた。


「裏切られることが怖いって……もしかして、過去に浮気とかされました?」


 ずばりと言い当てられ、ここまできたら正直に打ち明けてしまおうと思い、静かに頷いた。


「浮気かあ……。辛いですよね。私も散々浮気されました」


「えっ! 瀬戸内さんでも浮気されるんですか!?」


 驚いて顔を上げると、瀬戸内さんは苦笑いを浮かべていた。


表情は柔らかくなっていて、もう怒ってはいないようだった。


「されますよ。

大体別れる原因は浮気でしたね。

問い詰めたり携帯見ちゃう私も悪いんですけど、でも一番悪いのは浮気する方だと思うんですよね。

一回浮気されると、もしかしたらこの人もって思って信用できなくて、調べちゃって、そんで発覚して、別れて……。

悪循環ですよ。

男運がないのか男を見る目がないのか、はたまた私が悪いのか。

今度こそ信用できる男を、と思って剛田部長を選んだんですけど、私にはどだい無理な人でした……」
< 188 / 359 >

この作品をシェア

pagetop