社内恋愛なんて
「はい。部長と、お付き合いさせてください!」


 私ははっきりと口にした。


冗談で言ったのに、まさかの言葉が返ってきた部長はとても驚いていた。


私の言葉も冗談なのかと戸惑い疑っている様子も見られたので、もう一度勇気を出して言った。


「部長のことが好きです。私と付き合ってください」


 ベタすぎる告白だと自分でも思った。


できればもっとオシャレな言い方で想いを伝えたかった。


定型文みたいな告白だけど、これが一番気持ちが伝わると思った。


というか、この言葉しか浮かばなかった。


 部長は、驚き固まっていた。


言葉が、出ない様子だった。


 私は真っ直ぐに部長の瞳を見つめた。


緊張して手が震えていた。


でも、瞳を逸らしたくはなかった。


 じり、と砂利を踏む音が聞こえて、部長が一歩私に近付いた。


私はごくりと唾を飲み込む。


 部長の手がゆっくりと上がって、私の腕に触れた。


そして、部長は更に近付き、顔を寄せていく。


近付いてくる部長の顔にドキドキしながら、顔をほんの少し上げてキスを待つ。


 目を閉じた瞬間に、唇が触れ合った。
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