社内恋愛なんて
「俺は、諦めないから。

俺が好きなのはみあだけで、これからも絶対変わらない」


 守は、私を真っ直ぐに見つめて気持ちを込めるようにして言った。


 裏切ったくせに、なんて都合のいい、と呆れたけれど、それ以上に嬉しい気持ちが大きかった。


ボロ雑巾のように捨てられて忘れ去られるより、迷惑だけど好きでいてくれた方が自分のプライドが保てる。


守をもっと傷つけてやりたいという残虐な気持ちが出てくる。


本当はこんな気持ち捨ててしまいたいのに、古傷は私を残酷にした。


「そう、でも私は部長と幸せになるから」


 守から顔を背けて言い捨てる。


去ろうとすると、再び守に腕を掴まれ、壁際においやられた。


両手を壁について私が逃げられないようにホールドする。


こんなところ誰かに見られたら……。


焦る私とは裏腹に、守の目は獲物を狩る肉食獣のようだった。


「やめてよ、こんなこと!」


「みあが他の誰かのものになるなんて耐えられない」


 逃れようとするも、暴れるほど守の身体が密着してくる。
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