社内恋愛なんて
「そうだ、お弁当作ってきたんです」


 小花柄の保冷バックからランチボックスを取り出すと、部長は嬉しそうに破顔した。


「おお、ありがとう!」


 サンドイッチと一口サイズのおにぎりとおいなりさん。


それにから揚げや煮物のおかずが数品と、スープジャーには野菜スープを入れてきた。


気合いを入れすぎて、作りすぎてしまった感はいなめない。


でも、シートの上にずらりと並んだお弁当を見て、部長がとても喜んでいるから頑張って良かったなと思った。


好きな人に喜んでもらえることが、一番嬉しい。


 結局、お弁当は二人で全部平らげて、お腹いっぱいになりながらまったりとした時間を過ごした。


その後、帰る道すがらたまたま見つけたアートギャラリーに寄った。


とてもお洒落な館内で、面白い作品が並んでいる。


守はアートとか全く興味ない人だったので、美術品を見ながらあーだこーだ言えることが新鮮だった。


歩いていると、ごく自然に部長が私の手を握った。


恋人繋ぎをして、館内を歩く。


会話の端々から伝わる部長の知的さが、とても素敵に思えた。
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