社内恋愛なんて
罪と後悔~守目線~
 ガラス板で覆われた色鮮やかな盤面上に、玉が昇っては落ちていく。


俺は大音量の音楽と立ち昇る紫煙に包まれながら、パチンコ台を食い入るように見つめていた。


「来い、来いっ!」


 ハンドルを握る手に力が入る。


液晶画面に映し出された二つの7の数字。


あと一つ7が揃えば一気に形勢逆転だ。


今日すった分の金を取り返して、確変に入れば儲けることだってできる。


この勝負に勝ちさえすれば……。


 回転する数字。


パチンコのキャラクターが液晶画面に登場し、イベントが発生する。


そして、数字は7で止まった。


「よしっ!来た!」


 思わず大きな声が漏れて、隣に座っていた中年のおっさんに睨まれる。


胸の高揚感でニヤニヤする顔を引き締めることができない。


今日はついてねぇなぁと思っていたけど、やっと運気が上がってきた。


……そう思っていたのも束の間、数字はカクンと下がり8で止まった。
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