社内恋愛なんて
先輩に強引に誘われた合コンで、泥酔して一夜の過ちを犯してしまったと。


相手がみあの友達だった人妻の美奈子であることや、一度きりでなく数回関係を持ったことは言えなかった。


言ったら吉川まで失ってしまう気がしたからだ。


 一度きりの過ちと嘘を吐いたにも関わらず、吉川は俺に全く同情しなかった。


自業自得だなと言われて、そうだよなと苦笑いする他なかった。


それでも、別れてから三年経つのに、みあのことを忘れられない俺に最近は同情してくれるようになった。


もう忘れて新しい彼女作ればと勧められる度に、頑なに首を振る。


 吉川からすれば、泥酔して過ちを犯してしまったことは、もう時効になってもいい罪だと思っている。


だから俺に同情してくれる。


でも、本当は違うんだ。


時効なんて来るはずのない罪なんだ。


みあをとても深く傷つけておいて、自分が忘れて幸せになっていいはずがない。


失ってようやく目が覚めたんだ。


自分のした罪の重さが、ようやく分かったんだ。
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