社内恋愛なんて
なんだかいつもと様子が違うので戸惑ってしまう。


前に会った時は、部長と付き合ったことを知って怒って詰め寄ってきた。


だからまた二人きりになったら何か言われるんじゃないかとビクビクしていた。


もしもまた言われたら、何を言おうかとかどうやって切り抜けようとか色々妄想してシュミレーションしていたので拍子抜けだ。


「置き場所変わったんだな。これ、どこ置けばいい？」


　守は私の方を向き、分厚いデータファイルを片手で掲げ見せた。


守と目が合って、ドキリとする。


いつもの明るい様子は影をひそめていて、目の色が暗く淀んでいた。


「ああ、後で私が戻しておくよ」


　どうしたんだろうと思いながらも、疲れた様子には触れず、重いデータファイルを受け取った。


別に、守に何があろうと私には関係ない。


「ごめん、ありがとう」


　声も沈んでいた。


やっぱり何かあったとしか思えない。


気になりつつも、言葉を飲み込む。


できるだけ守とは関わりたくないし、会話も長く続けたくなかった。
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