社内恋愛なんて
苛々していた気持ちも吹っ飛んで、今度は小躍りしたいくらい嬉しい気持ちになっていた。


もう大丈夫かも、私。


今なら部長としっかり向き合える気がする。


部長の胸に飛び込める気がする!


 オフィスに戻って、ゆっくり紅茶を飲みながら事務仕事をしようと思い、給湯室でお湯を沸かしていた。


給湯室は、大人が4人も入ればいっぱいになってしまうくらい狭いけれど、大きめのシステムキッチンが置いてある。


作業台にはコーヒーメーカーやポット、急須が並び、棚にはコップ類と数種類のティーバックや日本茶、コーヒー豆が収納されている。


棚からティーバックを取り出して、カップにセットしていると、部長が給湯室の横を通ったのが横目で見えた。


慌てて「部長!」と声を掛ける。


部長が私に気付いて足を止めると、誰にも見られていないことを確認してから、ちょいちょいと手招きした。


 声を掛けて二人きりのシチュエーションになることを全くしてこなかった私なので、部長は不思議そうに給湯室に入ってくる。
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