社内恋愛なんて
仕事終わり、部長の車に乗って、会社から離れた部長行きつけのお店で食事をした。


お店は、落ち着いたシックな雰囲気のもつ鍋屋で、内装や料理の盛り付けがとてもセンスが良くお洒落だった。


コラーゲンたっぷりのもつに、豊富な野菜、そしてスープがとっても美味しい。


個室で部長と二人きり、ゆっくり食事ができて幸せな時間を過ごした。


 そして再び部長の車に乗って、家路へと走る。


ハンドルを握る手と横顔を見ながら、仕事している時の姿も好きだけど、車を運転している時の姿が一番好きかもと心の中で呟く。


「今日は癒されたな」


 部長が笑顔でポツリと呟いた。


「最近忙しかったですもんね」


「いや、まだこれくらいの忙しさは平気なんだが、この前久しぶりにイラッときた出来事があって……」


 部長は思い出したのか、眉間に皺を少しだけ寄せた。


「えー、珍しい」


 部長はいつも怖い顔をしているけれど、めったに怒ることはない。


意外だったので、興味津々に部長の顔を見つめた。
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