社内恋愛なんて
「退職した後輩が、契約でいいからまた働きたいって言うから、ちょうど募集してたところだったから面接することになったんだ。

それで久しぶりに会ったんだが……」


 うんうんと相槌を打ちながら聞いていると、ちらりと部長は私の顔を見て苦笑いを浮かべた。


「……せっかくみあに癒してもらったのに、また思い出すこともないか」


「そんな! 気になりますよ」


 前のめりになって詰め寄る私に、部長は「すまん、すまん」と言って左手で頭をぽんぽんと撫でた。


「また今度な。今日はいい気分で帰りたいんだ」


 そんなこと言われたら、もう聞けない。


ふてくされた顔をしていると、信号が赤になり車が止まった。


すると、急に目の前に部長の顔が現われて、ちゅっとリップ音が鳴るキスをされた。


 驚いた顔で部長を見ると、してやったりといった無邪気な笑みで私を見つめていた。


「……ずるい」


 こんなことされたら、一瞬で機嫌が直ってしまう。


思わず漏らした言葉に、部長はまた微笑んで、今度はゆっくり顔を近付けてくる。


瞼を閉じて、顔を部長に向けると、唇が触れ合った。


ぐっと押し付けられた唇から、部長の舌が侵入してくる。


受け入れると、舌が絡み合い吐息が漏れる。


身体が溶けてしまうように気持ちいい。
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