社内恋愛なんて
謎の手紙
指折り数えていたのが嘘みたいに、あっという間に土曜日になった。


今日は初めて部長の家に行く。


夕方、部長がいつものように迎えに来てくれて、輸入スーパーで食材やお酒を買って、二人で夕食を作る予定だ。


とってもとっても楽しみで、胸がドキドキしている。


 それに、今日は部長の家にお泊りをする。


当然、どういう展開になるかは分かっている。


覚悟はできている。


この歳で覚悟とか、笑っちゃう話だけど、でもやっぱり、緊張する。


裸見られて幻滅されないかなとか、部長は胸の大きい人が好きだったらどうしようとか、少し屈むとできるお腹のむちっと感が堪らなく憎い。


 不安もたくさんあるけど、部長ともっと近づきたい気持ちの方が勝ってる。


きっと肌を重ねたらもっと親密になれる。


もっと好きになる。


 頭のどこかで、もっと好きになるのが怖かった。


好きになって裏切られたらどうしようって思って、壁を作って自分を守ってた。


でも、守と部長は違う人。


 傷付いて人間不信になって、それでも好きになった人だから。毎日側にいて、よく知っている人だから。


だから、大丈夫。


部長は、私を裏切るようなことはしない。


安心して部長の胸に飛び込んで、もっともっと大好きになろう。
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