社内恋愛なんて
落ち着いたのが分かったのか、部長は優しく尋ねた。


コクリと頷き、支えられるようにしてリビングに入った。


ソファに私を座らせ、肩を回して私の腕をさすってくれる。


そうしていると、私もだんだん落ち着いてきて、怖がらずに聞いてみようという気持ちになった。


「さっき、ポストにこれが入ってました」


 まだ少し震えの残った手で、ポケットから白い封筒を取り出すと、部長に差し出した。


部長は不思議そうな顔で封筒の中身を見た。


そして、写真を見ると怪訝な表情を浮かべた。


「なんだこれ」


 訝(いぶか)るように眉根を寄せて写真を見つめる部長。


私は部長の表情を食い入るように見つめていたけれど、慌てたり後ろめたいことがあるようには全く見えなかった。


「どうしてこんなものが?」


「それは……私が聞きたいです」


 部長は、そうか、それもそうだなといった表情をして、再び写真を見つめ、不思議そうに首を傾げた。


「部長、本当のこと教えてください」


 私は震える唇で切り出した。


部長はきょとんとした顔で私を見つめる。
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