社内恋愛なんて
「俺は、絶対そんなことしないから。

大丈夫だから。

命に代えても約束する」


 力強い言葉。


もう、涙が溢れて止まらない。


部長の胸に顔を押し付けて、顔をぐしゃぐしゃにしながら嗚咽を漏らす。


「未来のことは大抵分からないものだが、これだけは自信を持って言える。


むしろ自信しかないくらいだ。


俺はみあを裏切ったりしない。

どんなことがあっても、浮気なんて絶対にしないから」


 どうして部長は、一番言ってほしい言葉を言ってくれるんだろう。


抱きしめてほしい時に、抱き締めてくれるんだろう。


今まで一度だって部長は嘘をついたことがない。


難しそうな時は正直に理由を言って難しいって言うし、大げさに脚色したり、冗談を言うこともほとんどない。


つまらない男だと言われる時もあるらしいけれど、その誠実さと真面目さに惹かれた。


信じても、いいよね。


大丈夫だよね。


 部長の胸の中で、声をあげて泣いた。初めて自分をさらけ出せた気がした。
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