社内恋愛なんて
美奈子は私を見つけると、にこりと笑って「久しぶり」と言って近付いてきた。


小さな顔に、大きな瞳。


元々目が大きいのに、たっぷりとマスカラをつけているから化粧が濃く見えるけれど、万人が綺麗だと認める美しい顔立ち。


部長が断った時、私の誘いを断る人がいるなんて、と驚いていたと言っていたけど、これだけ綺麗なら頷ける。


 私は笑顔を浮かべずに、ただ会釈した。


よくも笑顔で私の前に立てるなと少し腹が立った。


 席に座ると、メニュー表を広げ、


「ここ久しぶり~。あっリコッタパンケーキもあるんだ。美味しそう。私、これにしよ~」


 何食わぬ顔で、楽しそうにしている美奈子を見て呆れた。


私は飲み物以外、喉を通りそうにない。


根本的に考え方とかが全く違うんだろうなと思う。


 美奈子の注文が終わってから、私はすぐに本題に入ろうとバックを開けた。


早くはっきりさせて帰りたい。


「これがポストに入ってたんだけど……」
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