社内恋愛なんて
「誠一郎とみあが付き合ってるってことは同期から聞いたよ。

でも、この写真見て分かる通り、私と誠一郎も付き合ってるの。

誠一郎がみあに何て言ったのかは分からないけど、私は誠一郎のこと諦めるつもりはないから」


 はっきりとした言い方に、怒りがふつふつと燃え上がる。


「美奈子と部長が付き合ってるって、すごい妄想だね」


 お返しといわんばかりに、嫌味を言った。


すると美奈子もすかさず応戦してくる。


「妄想だって思えるくらい、誠一郎のこと信じてるんだ。

守のことがあったのによく信じられるね」


 お前がそれを言うかと思って、怒りはどんどん膨れ上がってくる。


「おかげさまで、守のことがあったから、嘘をついてるかついてないかはすぐに分かるようになったの。

美奈子の方が嘘をついてることくらい分かるよ。

この写真も、美奈子が撮らせたんでしょ」


「そんなの、どこに証拠があるの? 証拠もないのに疑うなんて失礼じゃない?」


 美奈子も苛々してきたのか、両腕を組み、睨みつけてきた。


私は美奈子の言葉を無視して、美奈子が犯人である前提で話を進める。
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