社内恋愛なんて
私は美奈子と睨み合ったまま、一度も店員の顔を見ずに言った。
店員はおしぼりの束を置いて静かに下がっていく。
静かに睨み合うこと数十秒。
美奈子は諦めたように溜息を吐いて、店員が置いていったおしぼりで顔を拭き始めた。
お互い水をかけられて頭が冷えたのか、爆発するような怒りが沈んでいった。
「どうして、こんなことしたの?」
疑問を口にする。
今なら正直に答えてくれそうな気がした。
「剛田部長のこと、そんなに信じてるんだ」
呼び方が変わった。
少しだけ本音を話す気分になったのかもしれない。
「うん、信じてる」
「男なんて皆、裏切るよ。守だってそうだったじゃない」
「守と部長は違う」
美奈子は私の目をチラリと見て、つけ入る余地が全くないことを悟ると、これみよがしに大きなため息を吐いた。
「アホらし。時間の無駄だった。
そうよ、あの写真は私が離婚の時お世話になった業者に撮らせたの」
「どうしてそんなことしたの? そんなに私が嫌い? 私、美奈子になんかした?」
美奈子はキッと鋭く私を睨んで、怒りを込めた口調で話し始めた。
店員はおしぼりの束を置いて静かに下がっていく。
静かに睨み合うこと数十秒。
美奈子は諦めたように溜息を吐いて、店員が置いていったおしぼりで顔を拭き始めた。
お互い水をかけられて頭が冷えたのか、爆発するような怒りが沈んでいった。
「どうして、こんなことしたの?」
疑問を口にする。
今なら正直に答えてくれそうな気がした。
「剛田部長のこと、そんなに信じてるんだ」
呼び方が変わった。
少しだけ本音を話す気分になったのかもしれない。
「うん、信じてる」
「男なんて皆、裏切るよ。守だってそうだったじゃない」
「守と部長は違う」
美奈子は私の目をチラリと見て、つけ入る余地が全くないことを悟ると、これみよがしに大きなため息を吐いた。
「アホらし。時間の無駄だった。
そうよ、あの写真は私が離婚の時お世話になった業者に撮らせたの」
「どうしてそんなことしたの? そんなに私が嫌い? 私、美奈子になんかした?」
美奈子はキッと鋭く私を睨んで、怒りを込めた口調で話し始めた。