社内恋愛なんて
「違う。みあと別れたら、守は私を選ぶって思ってた。

それなのに、みあと別れた途端、私のこと邪険にして会ってくれなくなったのよ。

私のこと好きって言ってたのに。

だから私もダサい旦那なんか捨てて、守と一緒になろうと思ってたのに。

何度言い寄っても、みあのことが好きだからって……。

結婚したいと思うのはみあだけだって。

別れて一緒になりたいって言ってたのに。

騙された。旦那のこと邪険に扱ってたから、もう旦那は私のこと見てくれないし」


「それ、憎む相手が違うんじゃないの?」


 守のことを憎むのも、自分が蒔いた種なんだから違うとも思うけれど、どうして矛先が私に向かうのか呆れた。


どこまでも身勝手な思考回路だ。


「別に、だからといってみあのことを憎んでたわけじゃないわよ。

長いこと離婚に向けてごたごたしてたけど、何にもしてこなかったでしょ? 

そうじゃなくて、私が離婚してボロボロになってるのに、誰もが憧れる剛田部長と付き合ってるなんて聞いたら、はらわたが煮えくり返るのも分かるでしょう?」
< 301 / 359 >

この作品をシェア

pagetop