社内恋愛なんて
「どうした？ 今日は斎藤と会ってるんじゃなかったのか？ もしかして、なんかあったのか？」


「いえ、美奈子とは話して、今帰るところです。

色々ありましたけど、聞きたいこと聞けて、今はすっきりしてます。

あの写真、やっぱり美奈子が撮らせていたみたいです」


「そうか。声が元気そうで安心した」


　部長の優しい言葉に、スマホを握りしめながら思わず口元が緩んでしまう。


「あの、それで、今、何してますか？」


「家にいたよ」


「今からそちらに行ってもいいですか？」


「え、もちろんいいが、大丈夫なのか？」


「大丈夫って？」


「ああ、いや、何でもない。気にしないでくれ。

今どこにいる？ 迎えにいこうか？」


　部長の焦り具合が電話越しに伝わってくる。


きっと部長は、深い関係になっても大丈夫なのかってことを聞きたかったのだろうけれど、私はただ家に遊びに行くだけで深くは考えていないだろうと思って慌てて話題を逸らしたんだろう。
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