社内恋愛なんて
こんな豪華なマンションに入ったのは初めてだったので、驚きを隠せなかった。


上京したての田舎者みたいに、口を開けて唖然としながらキョロキョロしてしまう。


そんな私に部長はにこやかに笑いながら、手を引っ張ってエレベーターホールへと連れていった。


 三基並んだエレベーターは高級ホテルのようにしっかりとした造りで、私はこれからホテルの部屋に行くんだろうかと錯覚を起こしてしまいそうになるほどだ。


 一番手前のエレベーターに乗り込むと、階数が20階以上しかなかった。


まさか最上階に住んでいるのでは!? と思ったら、26階のボタンを押したので、少しほっとした。


あんまり凄すぎると気後れしてしまうのは、たぶん田舎でのんびり育ってきたからだろう。


でも、タワーマンションの高層階に住んでいるというだけで十分凄いのだけれど。


 カードキーで部屋を開けると、モデルルームのように綺麗な玄関が広がっていた。


床は大理石で、廊下も広い。


おずおずと中に入り、リビングを開けると20畳はありそうな広いリビングが出迎えた。
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