社内恋愛なんて
部屋は落ち着いたシックなブラウンで統一されていて、壁に絵画のように取り付けられた大きなテレビと、大人三人は余裕で座れるような黒張りのソファ。


木目調のダイニングテーブルは二人掛けだけれど、広々としていてとても清潔で綺麗だった。


「凄い、綺麗ですね」


「必要最低限の物以外置いてないからな。掃除が楽なんだ」


「ここ、分譲ですか?」


「まさか、賃貸だよ。1LDKだし、都心から少し離れてるから家賃はそこまで高くないんだ」


 それでも、私の家賃よりは倍かかるんじゃないだろうか。


お金のかかりそうな趣味はないから、住む場所とか生活に重点を置く人なんだろうなと思った。


部長らしいといえば部長らしい。


 大きな窓に手をついて景色を眺めていると、部長が後ろから私の腰に手をまわし、顎を頭に乗せ密着してきた。


急に近づいた距離に、心臓がドキドキと音を立てる。
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