社内恋愛なんて
守はほっとした様子で、注文して届いたばかりの生ビールを一気に半分ほど飲んだ。
「話したいことってなんだよ」
吉川さんが訝しげに言う。
「ないよ、そんなの」
「けっ、相変わらずモテるね~」
「好きな子からモテなきゃ意味ないし」
守は憮然とした顔で、枝豆をぽりぽり食べている。
すると吉川君は驚いた顔をして、守にずいと近寄った。
「えっ! 好きな子できたの!?」
守は大きな声を出した吉川君の顔を、さも迷惑そうに眉をしかめて見つめ返した。
「ずっと前からいるし。変わってねぇよ」
守の言葉に、吉川君は「なんだ」と言って椅子に深く座り込んだ。
……好きな子、いたんだ。
彼女がいるって言われたって、別に落ち込むことはないけれど。
「いいかげん、そろそろ諦めればぁ?」
吉川君は呆れたように言った。
守は相変わらずの表情で枝豆をぽりぽり食べている。
「諦められないから、今でも好きなんだよ」
「守は一途だねぇ」
二人の会話を聞いていた同じテーブルに座っている人たちが、うんうんと吉川君の言葉に賛同するように頷いた。
私は守を一途だとは思わない。
どんなに長い間報われない相手に恋をしていたとしても、守が一途だとは思わない。
絶対に、何があっても、思わない。
「話したいことってなんだよ」
吉川さんが訝しげに言う。
「ないよ、そんなの」
「けっ、相変わらずモテるね~」
「好きな子からモテなきゃ意味ないし」
守は憮然とした顔で、枝豆をぽりぽり食べている。
すると吉川君は驚いた顔をして、守にずいと近寄った。
「えっ! 好きな子できたの!?」
守は大きな声を出した吉川君の顔を、さも迷惑そうに眉をしかめて見つめ返した。
「ずっと前からいるし。変わってねぇよ」
守の言葉に、吉川君は「なんだ」と言って椅子に深く座り込んだ。
……好きな子、いたんだ。
彼女がいるって言われたって、別に落ち込むことはないけれど。
「いいかげん、そろそろ諦めればぁ?」
吉川君は呆れたように言った。
守は相変わらずの表情で枝豆をぽりぽり食べている。
「諦められないから、今でも好きなんだよ」
「守は一途だねぇ」
二人の会話を聞いていた同じテーブルに座っている人たちが、うんうんと吉川君の言葉に賛同するように頷いた。
私は守を一途だとは思わない。
どんなに長い間報われない相手に恋をしていたとしても、守が一途だとは思わない。
絶対に、何があっても、思わない。