社内恋愛なんて
愛し合った二人が戦争に巻き込まれて離ればなれになってしまうけれど、最後は結ばれる社会性メッセージの強いラブロマンス。


小物や洋服がとてもお洒落でそれを見ているだけで楽しいと聞いて、一度観てみたいと思っていた。


 部長に頼んで一緒に観ることになった。


部屋を暗くして、部長の肩にもたれかかるようにしてソファに座り、大きなテレビで映画を観る。


昔ながらの音と、白黒の映像が逆に新鮮だった。


本編が始まる前にカタカタと映写機の鳴る音と粗い画質の短いCMが流れて、それがとてもロマンチックに思えた。


 映画はとても感動的なものだった。


途中堪え切れずに涙してしまう場面もあったけれど、最後は幸せな気持ちで終えることができた。


部長の肩に寄りかかって、手を繋ぎながら映画の余韻に浸る。


 もう、帰らないといけない時間だ。


お互い、それが分かっているから無言になる。


帰りたくないな。


そう思うけれど、口には出せない。
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