社内恋愛なんて
エンドロールも終わり、テレビから明かりが消えた。


薄暗い部屋の中、私たちは押し黙っている。


口を開けば、帰ることになってしまう気がしたからだ。


「みあ」


 静寂を破ったのは、部長の声。


帰ろうと言われると思って体が強張った。


 すると、覆いかぶさるように唇を押し付けてきた。


薄暗闇の中、とろけるような甘いキスが落とされる。


部長の重みで身体を支えきれなくなって、ソファに押し倒される体勢となった。


それでもキスは止まらない。


 部長が私の上に乗る。


ほどよい圧迫感が密着している身体を感じられて、奥の方が熱くなる。


静かな部屋のせいで、舌の絡み合う音が大きく聞こえた。


 ずっとこうしていたい。


ずっと、抱きしめあっていたい。


足を少し広げて、部長の体勢が楽になるように足の間に身体を挟み込んだ。


すると、セックスしているときのような恰好になって、身体がどんどん熱くなっていった。
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