社内恋愛なんて
「それは、上司としてではなく、男としてみあを放っておけないって意味ですか?」


 なんてことを聞くんだ守は! 


私は慌てて会話に入り込んだ。


「あのっ! 二人とも、私は一人で帰れます! というか帰ります! 部長、そういうわけなんで降ろしてください!」


「駄目だ」


 一刀両断された。


「ダメって……そんな……」


「ほら、帰るぞ」


 部長は私を抱えたまま歩き出した。


守とのやりとりはもういいらしい。


いつの間にか部長の中ではもう、私を送って行くことは決定事項になってしまったようだ。


 守は、あまりにも強引な部長に呆気にとられていて、無理やりにでも止めるべきか考えあぐねている様子だった。


その横を、部長は私を横抱きにして悠然と通り過ぎる。


そして、二、三歩進んだところで足が止まった。
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