社内恋愛なんて
「私は、大丈夫ですよ」


 嬉しいけれど、やせ我慢を言う。


恥ずかしさの裏返しだ。


「完全に酔っている奴ほど、自分は大丈夫だと言うんだ。俺が見る限り、大丈夫そうにはまったく見えない」


「でも私は大丈夫なんです。まだ理性は残ってるし」


「じゃあ、真っ直ぐ歩けるか?」


「……それは、無理かもしれない」


「ほら、大丈夫じゃないだろ」


 部長は笑って言った。


部長と話していたら、もう周りが気にならなくなった。


いつもよりも自然と話せているのが嬉しい。


「お、タクシーが来たぞ」


 見ると、前からちょうど空車のタクシーが走ってきたので、手を挙げてタクシーを止めた。


空いたドアに入り、ゆっくりと私を後部座席に座らせると、部長も私の隣に座り、運転手に行先を告げた。


送ってもらったばかりなので、安心して任せられる。
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