社内恋愛なんて
 私は心の中で叫んだ。


布団に入っていたから気付かなかった。


昨日、何があったんだと自分の記憶を辿るも、二日酔いで頭ががんがんするだけで何も思い出せない。


 私から背を向けてワイシャツを着る部長。


その後ろ姿を見ていると、後ろ髪が寝癖で跳ね上がっていることに気が付いた。


「部長、もし良ければシャワー浴びていきますか?」


 部長は振り向くと、遠慮がちに口を開いた。


「いいのか?」


「はい。色々とご迷惑をお掛けしましたし。嫌でなければ使ってください」


 部長は少し考えるように間を置いて、「すまない。使わせてもらう」と言い、お風呂場に向かった。


 部長がいなくなり、少ししてからシャワーの流れる音が聞こえてくると、ほっとしてベッドから起き上がった。


ブラウスを着ているとはいえ、こんな格好で部長の前には立てない。


部屋着に着替えて身なりを整えると、冷蔵庫を開けて何を作ろうか考えた。


 部長はたぶん、洋食より和食派だろうな。


あんまり待たせてもいけないから、手早く作れるものにしよう。
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