社内恋愛なんて
数十分後、スラックスにワイシャツ姿の部長が戻ってきた。


お風呂上りで、髪の毛をセットしていないためか、いつもより柔らかい雰囲気に見える。


「ドライヤーとタオルも借してもらった。すまない」


「いいえ、とんでもないです。今、朝ご飯作っているので、そこで座って待っててください」


 私の部屋は14畳のワンルームで、リビングと寝室、それとキッチンが一つの部屋に収まっている。


奥の壁際にベッドがあり、中央には丸テーブルと低めのソファが置いてある。


キッチン側には小さめのダイニングテーブルと友達が来た時用に椅子は二脚添えられている。


 座ってもらおうと、ソファを指さすと部長は感心した顔付きでエプロン姿の私を見た。


「朝食も作ってくれているのか。勝手に泊まっておきながらシャワーまで借りてしまって、申し訳ないな」


「私の方こそ、ご迷惑をかけた上に醜態を見せてしまったようなので、これくらいさせていただかないと会社で会わす顔がないです」
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