社内恋愛なんて
狼狽(ろうばい)しながら止めにかかると、彼女は何事もなかったかのようにベッドの中に滑り込んだ。


そして再び俺を抱き枕がわりにしながら、満足気に眠りについた。


 慌てたせいで、心臓がバクバクいっている。


しっかりと見てしまった柔らかそうな白い太腿と、ちらりと見えた下尻に薄桃色の下着。


もはやもう、羊が一匹と数えることすら不可能なほど動揺していた。


 大きく息を吐いて起き上がり、ベッドを出ようとすると、彼女が起きてしまった。


「帰るんですか?」


 彼女も上半身だけ起き上がり、心配そうな目で俺を見つめる。


「いや、帰らないよ。ここにいる。ただ、俺は床で寝るから」


 なるべく彼女を不安にさせないように優しい口調で言った。


それなのに彼女は俺に縋りつくように抱きついてきた。


「嫌です。隣で寝てください」
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