社内恋愛なんて
カードキーをかざし、書物庫の扉を開けると中は真っ暗だった。


電気、電気と呟きながら、壁に手を張りスイッチを探す。


スイッチを見つけて、カチリと押すとぱっと電気が点いた。


 書物庫は4畳半くらいの小さな部屋だ。


壁一面に本棚が備え付けてあり、そこに様々な本やDVDなどの資料が置いてある。


借りていた資料を元にあった場所に戻そうとしたけれど、一番上の棚なので届かない。


しかも、いつもは置いてある踏み台もなぜか見当たらなかった。


「最悪……」


 せっかくここまで来たのに。


低い身長が恨めしく思った。


「ん~!」


 必死で背伸びして、資料を上の棚に置こうとする。


もうちょっとなんだけど……。


「何してんの?」


 突然扉の方から声がして、驚いて肩がビクっと上がった。


振り返ると、そこには守が佇んでいた。


「守! どうしてここに?」


「課長が借りてた本を返してこいって言われて」


 そう言って守は、分厚い本を掲げて見せた。


顔は少しふて腐れている。


要はパシリかと思って少し笑った。
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