花椿
梅と鶯
つい先日、店主の与一は呉服屋の御棚から掛軸を預かった。
「掛軸を仏間に掛けたところ掛軸に描かれた、鶯が急に鳴き出した。昼夜問わず鳴きとおしだ」と言うことで呉服屋の旦那が、与一に気味が悪いから預かってくれと言われ、与一は渋々と掛軸を持ち帰った。
与一が店に戻り、はて掛軸の鶯が本当に鳴くのかと不思議に思い、掛軸を木箱から取り出し広げ、鴨居に掛けたとたん与一は、驚き尻餅をついた。
掛軸の梅の木に描かれた鶯が「ぴー」と鳴きワサワサと羽音を鳴らし、飛びたったのだ。
慌てて体を起こし、店内を飛び回る鶯を捕まえようと血相変えて追いかけるが、鶯は一向に捕まえられない。
「おーい、漣。ちょいと」
与一は叫び、孫の漣を呼んだが返事はなく、一人すたもんだしているところへガラガラと店の扉が開いた。
「ごめんくださいまし」
入ってきたのは品の良い着物を着たご婦人だ。
「掛軸を仏間に掛けたところ掛軸に描かれた、鶯が急に鳴き出した。昼夜問わず鳴きとおしだ」と言うことで呉服屋の旦那が、与一に気味が悪いから預かってくれと言われ、与一は渋々と掛軸を持ち帰った。
与一が店に戻り、はて掛軸の鶯が本当に鳴くのかと不思議に思い、掛軸を木箱から取り出し広げ、鴨居に掛けたとたん与一は、驚き尻餅をついた。
掛軸の梅の木に描かれた鶯が「ぴー」と鳴きワサワサと羽音を鳴らし、飛びたったのだ。
慌てて体を起こし、店内を飛び回る鶯を捕まえようと血相変えて追いかけるが、鶯は一向に捕まえられない。
「おーい、漣。ちょいと」
与一は叫び、孫の漣を呼んだが返事はなく、一人すたもんだしているところへガラガラと店の扉が開いた。
「ごめんくださいまし」
入ってきたのは品の良い着物を着たご婦人だ。