モノクロ 〜真実の剣と偽りの盾〜

15:10

楓side

♪~♪~♪♪~

ん… なんか鳴ってる…?
隣にいるハズのとものことを見ると、あれ?寝てる!?

えっ?!あたし起こしてって言ったよね?なんで寝てんの!?

今あたしが起きなかったら完全寝過ごしてたよ?!
ってか、もう降りる駅通り過ぎちゃった?

今何時だろ。田舎を走る電車に、時計なんぞ付いていない。

とりあえず、隣に座ってる人がいじくってる携帯電話を盗み見して、現在の時間を確保した。

三時ちょっとすぎ、大丈夫、まだ降りる駅過ぎてなかった。

三時は過ぎてるけど駅は過ぎてない。なんちゃって。

でも、さっきの音何だったんだろ。
電車の車内放送じゃなさそうだし、あ…、もしかして、ともの携帯?
とものことを上から下までまじまじと見つめると…あった!

友が着てるワンピースのポケットから、青い光がピコピコ洩れてる。
やっぱりそうだ。メールの着信音だったんだ!

まだ中学生のくせに、いっちょ前に携帯なんか持っちゃって。

『うちはけして裕福な家庭ではないから、欲しいものは働いて自分のお金で買いなさい。』
これが、うちのお父さんの口癖だもんなあ。

あと三年か…。まだまだともと、メールはできなそうだ。

裕福な家庭、かあ…。
あたしの中での裕福のイメージはとも。
いっつもカワイイ服着てるし、とものお父さんやお母さんだって高そうな車乗ってる。それに、とものお家に遊びに行った時だって…。

もう、これ以上考えるのはやめよう。無意味だし、ミジメな気持ちになるだけだ。

でも、そんなイメージのともは、いっつも家族の誰かしらの愚痴を洩らしてる。あんまり家族関係良くないのかな…。

その点、うちはお父さんもお兄ちゃんも優しいし、とても気配り上手だ。
そういう面だとうちの方が…、はっ!!


…しっかし、ピコピコ、一度目につくと違うとこ見てても視界に入ってくる。

そんなことどうでもいいけど、ヒマ…。
ともが喋ってくれないだけで、こんなにも暇になるなんて…。

本当に暇で暇でしょうがないから、“そんな無防備に携帯所持してると盗まれちゃうぞ”ってともに思い知らせるために、ともの携帯に届いたメールを読むことにした。
読んだらピコピコも消えるし、あたしの暇も潰せるしね♪
一石三鳥じゃん♪♪
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