モノクロ 〜真実の剣と偽りの盾〜
みんな、遠目に葵さんをちらちらと見、にやにやとした顔をしてなにか囁き合っている。

誰も葵さんに近寄ろうとはしないし、彼女自身も、この教室に馴染もうとしているような感じがしない。

もしかしたらわたしは、葵さんと同じ目で見られている?
さっきからずっと一人で回りを見ているし、休憩時間も一人で本を読んでいるし。
そういえば、今日はずっと一人で行動しているな。


やっぱりわたしは楓ちゃんがいないと楽しくない。

今日楓ちゃんが居てくれれば、二人で葵さんに話しかけていたに違いない。

そうすれば葵さんも、もう少し楽しい一日を送れたと思うのに。


ああ、そう考えているうちにもどかしくなってきた。
なんて思われてもいい。やっぱり今日、楓ちゃんの家へ行ってみよう。
明日まで待てる自信がない。

それから、何かお詫びの品も持って行こう。
< 36 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop