デイ ドリーム - 儚く甘いゆめ -
――――――
――――
――
あの日も、雨だった。
朝から灰色の厚い雲に覆われて、みていてかなしくなるほどの曇天だった。
空はいまにも泣き出しそうなほどぐずっていたのを、いまでも覚えている。
たくさんの人がやってくる中、ひよりはずっと外で立ち尽くしていた。
学校の制服をまとってうつろな瞳で地面を見つめ、ただそこに立っていた。
頭の中は真っ白でなにも出てこない。
ただただ、何も出来なくて何もしたくなくて、人形のように立ち尽くしていた。
そのときだ。
ぽつぽつとつめたい雫が首を濡らし、庭いっぱいに敷き詰められた砂利に黒いシミが浮かび上がる。
雨だ。
そっと、理解をした。
だけどひよりはその場を動こうとはしなかった。
中へは入りたくない。
見たくない現実が、あそこにはある。
足は地面に突きささってしまっているかのようにまったく動かなかった。
次第に雨がつよくなり、打ち付ける雫が容赦なく降り注いでもひよりはそこにいた。
どれだけ自分が濡れてしまっても構わなかった。
どうせならばいっそこのままここで雨に溶かされて消えてしまえればいい。
とさえ思った。
「ひより!」
しかし、いきなり腕を強く掴まれひよりの体はぐらりと傾き足の力は抜け、ひよりはその場にふにゃりと座りこんでしまう。
「ほら、中に行くよ。風邪引いちゃうよ」
ぐっと腕を引っ張られてひよりは抵抗するまもなく、引きずられるようにして現実の世界へと連れて来られた。
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あの日も、雨だった。
朝から灰色の厚い雲に覆われて、みていてかなしくなるほどの曇天だった。
空はいまにも泣き出しそうなほどぐずっていたのを、いまでも覚えている。
たくさんの人がやってくる中、ひよりはずっと外で立ち尽くしていた。
学校の制服をまとってうつろな瞳で地面を見つめ、ただそこに立っていた。
頭の中は真っ白でなにも出てこない。
ただただ、何も出来なくて何もしたくなくて、人形のように立ち尽くしていた。
そのときだ。
ぽつぽつとつめたい雫が首を濡らし、庭いっぱいに敷き詰められた砂利に黒いシミが浮かび上がる。
雨だ。
そっと、理解をした。
だけどひよりはその場を動こうとはしなかった。
中へは入りたくない。
見たくない現実が、あそこにはある。
足は地面に突きささってしまっているかのようにまったく動かなかった。
次第に雨がつよくなり、打ち付ける雫が容赦なく降り注いでもひよりはそこにいた。
どれだけ自分が濡れてしまっても構わなかった。
どうせならばいっそこのままここで雨に溶かされて消えてしまえればいい。
とさえ思った。
「ひより!」
しかし、いきなり腕を強く掴まれひよりの体はぐらりと傾き足の力は抜け、ひよりはその場にふにゃりと座りこんでしまう。
「ほら、中に行くよ。風邪引いちゃうよ」
ぐっと腕を引っ張られてひよりは抵抗するまもなく、引きずられるようにして現実の世界へと連れて来られた。