デイ ドリーム - 儚く甘いゆめ -
「紅茶でいいかな?今から淹れるからいつもみたいに座って待ってて」
ひよりはいそいそと店の奥へと向かうが、相馬はそれを制止した。
「ああいいよ。今日はすぐに帰るし」
するとひよりは振り返ってきょとん大きくまんまるな瞳で小首を傾げながら「そうなの?」と尋ねる。
愛らしい姿に思わず頬が緩んでしまうのを抑えながら相馬は返事を返した。
「実はこのあと接待があってさ~…」
「ああ…なるほど……」
この先に待っている現実を思うだけで胃がキリキリと痛んでくるような気がする。
入社して2年目の新人サラリーマンには運命(さだめ)と言ってもいいほどの苦行だ。
この間も上司に連れられて取引先との飲み会に行ったばかりで、それはもうひどくつらい経験をした。
飲めど飲めどビールジョッキに注がれる黄金色のビール。
お腹が水腹で苦しくなってどんなに遠慮をしても相手のハゲたオヤジは顔を真っ赤にしながら「いやいや若いんだから飲まないとね」とかなんとか言って次から次へと飲ませてきた。
最終的には我慢できなくなり、トイレに駆け込むという非常に苦い思いをした接待飲み会だったのだ。
あれがもう一度繰り返されるのかと思うと寒気がしてくる。
「大丈夫?」
心配そうに彼女が顔を覗き込んでくる。
「ん、まあ…なんとかなるだろ……」
本当はそんな気は微塵もしないのだが、彼女に心配を掛けたくないがために口が勝手に動いた。
それでもひよりは眉を下げて相馬の顔を覗き込む。
子犬のように愛らしい姿だった。
ひよりはいそいそと店の奥へと向かうが、相馬はそれを制止した。
「ああいいよ。今日はすぐに帰るし」
するとひよりは振り返ってきょとん大きくまんまるな瞳で小首を傾げながら「そうなの?」と尋ねる。
愛らしい姿に思わず頬が緩んでしまうのを抑えながら相馬は返事を返した。
「実はこのあと接待があってさ~…」
「ああ…なるほど……」
この先に待っている現実を思うだけで胃がキリキリと痛んでくるような気がする。
入社して2年目の新人サラリーマンには運命(さだめ)と言ってもいいほどの苦行だ。
この間も上司に連れられて取引先との飲み会に行ったばかりで、それはもうひどくつらい経験をした。
飲めど飲めどビールジョッキに注がれる黄金色のビール。
お腹が水腹で苦しくなってどんなに遠慮をしても相手のハゲたオヤジは顔を真っ赤にしながら「いやいや若いんだから飲まないとね」とかなんとか言って次から次へと飲ませてきた。
最終的には我慢できなくなり、トイレに駆け込むという非常に苦い思いをした接待飲み会だったのだ。
あれがもう一度繰り返されるのかと思うと寒気がしてくる。
「大丈夫?」
心配そうに彼女が顔を覗き込んでくる。
「ん、まあ…なんとかなるだろ……」
本当はそんな気は微塵もしないのだが、彼女に心配を掛けたくないがために口が勝手に動いた。
それでもひよりは眉を下げて相馬の顔を覗き込む。
子犬のように愛らしい姿だった。