奥様のお仕事
「頑張るんだよ」

見送られながら 私は一度も出たことのない島をあとした。
美しい海 白い砂浜 青い空に 真っ白な雲


当たり前に見ていた 風景
祖父の愛した海


私のすべてだった この島に
またいつか もっともっと成長して 遊びに来たい


その時は 私の隣には愛する人と
この島を訪れられるだろうか・・・・・・・。



これから私はいったいどうなるんだろう。


「あの 長谷さん」


「浩一郎でいいですよ」


「いえ そんな・・・・・・・・」


「仕事でも 私のことを よく呼ぶことが増えますから
浩一郎と呼んでください」


「そんな いきなり呼び捨てとか・・・・・
それに 私の仕事って いったい・・・・・・」



「おいおいと説明します。
しばらく戻って来れませんよ。しっかりと
この美しい海にお別れしてください・・・・・・。
これから行くところは こんなに綺麗な海の色ではありませんから」


「そうなんですか」

この海と別れるんだ・・・・・・・・
心の中にいろんな思い出が走馬灯のように蘇った。
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