奥様のお仕事
「携帯・・・・・」


「あ すぐ戻ってくるからいいよ
それに急がなきゃ あの客の機嫌損ねると コウくんも
めっちゃ大変なんだよ」


「そうなんだ
それにしてもそんなウルサイ人のお菓子忘れるなんて」


「そういうとこぬけてっからさ」



浩一郎も携帯もすごく気になったけれど
言われるがまま 伸二郎の車に乗り込んだ。


「私こっちのことよくわからないけど
デパートってどこにあるの?」


「駅のとこだよ JRの」


「何階?」



「地下二階」



一台の車がエントラスに入ってきた。


「あれ?五月さんだ」


そう言うと伸二郎は
ちょっと待っててと言って 車から出て行って
その車に向かって走って行った。



車の後部座席が開いて 女の人が出てきた。


「シンくん!?大きくなったわね」


「お久しぶりです。
まさか 五月さんが来るなんてビックリしました」

すっかり おちゃらけた伸二郎がおぼっちゃまになっていた。


それから体格のいい男性が出てきて
伸二郎と握手をしていた。


大切なお客がたくさん来るって言ってたから・・・・・


「相変わらず美しいですね」


「生意気な挨拶もできるようになったのね」
女性はそう言うと 伸二郎の頭を撫ぜた。


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