奥様のお仕事
「仕事忙しいんだね」


「うん 何かいろいろあってさ
ちょっと電話してくるわ」


バスローブのまま 書斎へ入って行った。


ドアに耳を付ける。


「・・・・・断りましたけど・・・・・
はい・・・・大丈夫です・・・・・わかってます・・・・」


明らかに声が沈んでいる。
何があったんだろう・・・・・・。


それからしばらく書斎から出てこなかった。


仕事も五月さんのことも
浩一郎にはいろいろあるんだろうし
それに踏み込んだところで 何か力になることもない


ただ癒せることはないんだろうか・・・・・
元気が出ること


私ができることって言ったら
浩一郎が笑顔になれることしかないから



特に五月さんのことはすごく気になるけど
知らないフリをするしかない。


関係ないものね・・・・・
私のお仕事は ただ 夫婦でいることだけだから
その中に 愛や恋や嫉妬や不満があってはいけない


これは 仕事だから
仕事が終わったら ここから 浩一郎から離れることになる。



どんなに好きになっても 
この仕事が終われば この恋も終わるから
今は嫉妬や不満を見せることなく 
妻を演じて行くしかないんだ。
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