奥様のお仕事
それから私はもう 自分の過去を振り返らないようにした。
小さな島では みんな家族みたいなものだったから
誰も私のことを詮索したりする人もいない。


小さな学校にいる生徒たちも
みんな兄弟のようだったから
私の目の青さや 髪の毛の色 肌の白さも
全部受け入れてくれて 仲良くしてくれた。


だけど 中学を終えると
仲間たちは 本島の大きな学校へ通うため島を出て行った。


「マリンは行かないの?
ずっとここにいたって 楽しいことなんかないよ」


数少ない友人たちが旅立って行くのを
涙を流しながら見送る私は
臆病者でとても外の世界へ出て行く勇気が持てなかった。


「マリン みんなと一緒に行かないのか?」

祖父が心配したけど

「じいちゃんと一緒にここにいる」そう言った。
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