奥様のお仕事
車が停まって　佐伯さんが外に出て　スーツケースを出した。
すると制服を着た若い男の子が　足早に近づいてきて
スーツケースを変わりに受け取った。

「降りるよ」

浩一郎が　降りたので慌てて後から外に出る。


「うわ　寒い」

今まで感じたことのない　冷気が鼻の奥にツンと突き刺さった。


「では　明日　迎えにまいります」

佐伯さんは浩一郎と私に頭を下げて　車に乗って行ってしまった。


ホテル・・・・・・
すごい立派な入口で　中に入ると目がくらっとした。


「今夜はここに泊まるから」


「はい・・・・・・」


こんな立派なところに・・・・私はドキドキして
田舎くさくキョロキョロと見回した。


「マリン　堂々としてなさい」

突然耳元で厳しい声で浩一郎が言った。


「あ　はい　すみません」

怒られてしまった。
ちょっとパニくってしまった。


「そこに座ってなさい」
立派なソファーに　座って　浩一郎の後ろ姿を見ていた。
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