奥様のお仕事
結局 みんなを不幸にしたのは 私の存在。
もし 私がいなかった母は 絶望して死ぬこともなかったし
祖父を悲しませて
私を育てる面倒さもなかっただろう。

浩一郎から手渡された
祖父からの手紙に たくさんの愛情が感じられて
ホッとしたのは事実だった。


愛する娘を奪った
憎き見知らぬ異国の男を 祖父はきっと
憎み続けていて
その顔に多分そっくりな 私との生活が
苦しかったのではなかったのかと
考えないようにしようと思いながら 考える夜もあった。


じいちゃん
これでよかったんだよね・・・・・

いつも心配していた自分がいなくなってからの私の行く末
信頼できる人に導いてもらって
きっと私 幸せになれるんだよね・・・・・。


浩一郎が歩きだしたので 慌てて立ち上がった。


エレベーターに乗り込む

フロントの男性が 最上階の12階のボタンを押した。


12階・・・・・・
初めての経験ばかりで さすがに疲れてきた。


グググ・・・・・

慌ててお腹を強く抑えた。
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